| 年末調整早わかり |
| 目次 | 年末調整の意味 | 月例給与・賞与の税額合計と最終的な年税額が食い違う原因 | 年末調整の実施時期 | 年末調整の対象になる人とならない人 | 年末調整の対象となる給与の集計 |
| 年末調整の流れ | 「給与所得控除後の金額」とは何か? | 控除項目の種類 | 配偶者控除と配偶者特別控除 | 扶養控除の注意点 | |
| 社会保険料控除 | 生命保険料控除 | 地震保険料控除 | 改正点 | ![]() |
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1.社会保険料の控除方法が、月例給与・賞与と年末調整で異なるため
...月例給与・賞与では、支給額から直接社会保険料を控除するのに対して、年末調整では「給与所得控除後の金額」に対して社会保険料が控除される。
2.賞与の源泉徴収税額が暫定額であるため
...賞与に対する課税額は、賞与支給月の前月給与額を基準にして税率が決まるので、たまたま前月給与が少ないと賞与の税率が低くなり結果として徴収不足になる。
...年間賞与額が給与月額の5ヶ月分の場合に妥当な税額になるように、賞与に対する課税方法が定められているので、賞与総額が給与月額の5ヶ月分より多い場合は徴収不足になり、賞与総額が給与月額の5ヶ月分より少ない場合は過納付になる。
3.一部の控除項目については月例給与の税額計算に反映されていないため
...年税額の計算では、「老人控除対象配偶者」「特定扶養親族」「老人扶養親族」などの控除項目は、該当者ひとりにつきそれぞれ10万円、25万円、10万円の控除額が上乗せされるが、月例給与の税額計算の際にはこの上乗せ控除額は考慮されていない。
4.一部の控除項目については月例給与の税額計算で過剰に控除されているため
...「障害者」「寡婦」「寡夫」「勤労学生」については、年税額の計算では該当者ひとりにつき27万円の控除額が上乗せされるが、月例給与の税額は該当者ひとりにつき扶養親族がひとり多くいるものとして計算されている。
5.年度途中に扶養親族の異動があるため
...扶養親族数が年度途中で増減したり、障害者など各種控除項目の該当者が年度途中で増減したりなど、年度途中で控除内容が変動することがあり、月例給与ではその時点での控除内容にしたがって税額計算を行なうが、年税額の計算ではすべてその年の12月31日の現況によって控除内容を決定するため、税額が違ってくる。
6.生命保険料控除・配偶者特別控除などのため
...「申告社会保険料控除(国民年金保険料や国民健康保険料)」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「配偶者特別控除」などは、月例給与では控除の対象にしておらず、年末調整で初めて控除内容が反映される。
年末調整はその年の最後の給与を支払うときに行ないます。その年の最後の給与とは、支払者を基準としてみるのではなく、受給者ひとりひとりを基準としてみます。したがって、次のような場合は、特別の時期に年末調整を実施することになります。
| 特別な時期に年末調整を要する人 | 年末調整実施時期 |
| 年の中途で死亡退職した人 | 死亡時 |
| 年の中途で出国して非居住者になった人 | 出国時 |
■ 年末調整の対象になる人 (「対象になる人」とは、「年末調整をしなければいけない人」ということです。)
@ 「扶養控除等申告書」を提出していて、A 年間の給与総額が2000万円以下、の人
■ 年末調整の対象にならない人 (「対象にならない人」とは、「年末調整をしてはいけない人」ということです。)
..扶養控除等申告書を提出していない人 (2ヶ所以上から給与を支給されている人は、そのうちの1ヶ所に対してしか扶養控除等申告書を提出することはできません。)
..年間の給与総額が2000万円を超える人
..年の途中で就職し、その年中に前職がある場合に、前職の「給与所得の源泉徴収票」の提出がない人
..災害減免法の適用を受けている人
..中途退職者 (死亡退職者・12月給与支給後の退職者を除く)
..非居住者 (「居住者」とは、国内に「住所」があり、または、現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」といいます。)
■ 年の途中で就職し、その年中に前職がある場合は、前職の「給与額」「社会保険料」「源泉徴収税額」をそれぞれ集計に追加しておかなければなりません。
■ 年内に非居住者期間がある場合は、その期間内に支給した「給与額」「社会保険料」「源泉徴収税額」については、集計から除外しておかなければなりません。
1.集計した「年間給与額」を元に「算出表」を使って 「給与所得控除後の金額」を求める。
2.「給与所得控除以外の各種の所得控除額」を集計する。
3.「給与所得控除後の金額」から「給与所得控除以外の各種の所得控除額」を控除して、「課税給与所得額」を求める。
4.「課税給与所得額」を所得税速算表にあてはめ、年税額を求める。
| 所得税速算表 | |||
| 課税給与所得額(A) | 税率(B) | 控除額(C) | 税額(A)×(B)−(C) |
| 1,950,000円以下 | 5% | − | (A)×5% |
| 1,950,000円超3,300,000円以下 | 10% | 97,500円 | (A)×10%−97,500円 |
| 3,300,000円超 6,950,000円以下 | 20% | 427,500円 | (A)×20%−427,500円 |
| 6,950,000円超 9,000,000円以下 | 23% | 636,000円 | (A)×23%−636,000円 |
| 9,000,000円超 18,000,000円以下 | 33% | 1,536,000円 | (A)×33%−1,536,000円 |
| 18,000,000円超 | 40% | 2,796,000円 | (A)×40%−2,796,000円 |
5.求めた年税額から「住宅借入金等特別控除額」を控除して、最終的な年税額を求める。
6.集計してある源泉徴収税額合計額と最終的な年税額を比べ、過不足に応じて超過額または不足額を求める。
■ 「給与所得控除後の金額」とは、年間給与総額から「給与所得控除額」を控除した後の金額のことです。
「給与所得控除額」とは、サラリーマンの必要経費にかわるものとして税制上認められているもので、サラリーマン優遇税制と言われているものです。
なぜ優遇税制と言われるかと言うと、「控除額が大き過ぎる」からです。例えば、給与収入600万円だと174万円の給与所得控除があります。給与収入2000万円の場合だと給与所得控除額は270万円にもなります。(平成20年現在)
これを1ヶ月あたりにすると、それぞれ145,000円、225,000円になります。1ヶ月に仕事上の必要経費を145,000円あるいは225,000円使うサラリーマンはほとんどいないでしょう。このように、給与所得控除額は、必要経費という趣旨からかけ離れた過剰な金額になっています。このような制度が税制をいびつなものにしているのです。
■ サラリーマンの収入はガラス張りで、所得捕捉率が高いのだから、このくらいの恩典があってもいいじゃないか、と思われる人もいるかもしれませんが、この制度で本当に得をしているのは実は自営業者です。家族を使用人とみなして給与を支払ったことにするとか、事業主本人にも給与を支払った形にするといった手法で、自営業者は必要経費をすべて差し引いた後の所得から、何重にもこの過大な給与所得控除を差し引くことができるようになっています。サラリーマンとしては、「給与所得控除」を廃止または縮小して、代わりに所得税率を下げてもらった方がありがたいと思います。税負担の公平の観点から見直しが求められる制度です。
※ 平成18年度の法人税法改正で、第35条「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」が新設されました。これは、オーナー中小企業の役員給与について、@法人段階での経費計上、A個人段階での「給与所得控除」のうち、@を損金不算入とするものです。これは上述の不公平を是正する措置ですが、オーナー中小企業ではこの規定の適用を避けるため、従業員の一部を役員に昇格させるなどの対策を講じることも予想されます。というのは、この不算入制度が適用されるのは、業務主宰役員とその関連者が発行済株式の90%以上を所有し、かつ、常務に従事する役員総数の過半数を占める場合とされているためです。そもそもこの不公平は給与所得控除額が大き過ぎることにより発生する問題ですから、所得税の問題としてとらえるべきもので、法人税法側で解決するのは疑問です。この不参入制度は、個人と法人を混同している制度です。
■ 年末調整での控除には、所得控除と税額控除があります。
■ 所得控除とは、税率を乗ずる前に給与総額から控除するもので、税額控除とは、税率を乗じた後で税額から控除するものです。
■ 年末調整での所得控除と税額控除は、それぞれ次のような種類があります。
| 所得控除 |
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| 税額控除 | 住宅借入金等特別控除 |
■ 医療費控除・雑損控除・寄付金控除(以上所得控除)・配当控除・外国税額控除(以上税額控除)のように、確定申告の中でしか計算されないものもあります。
■ 控除項目の中には、扶養控除や社会保険料控除のように、所得税だけでなく住民税の計算でも控除項目とされているものと、住宅借入金等特別控除のように所得税のみの控除項目になっているものとがあります。
■ 平成15年までは、配偶者の収入がない場合または少ない場合は、配偶者控除と配偶者特別控除を重複して受けられる制度でしたが、平成16年からは配偶者の収入額によっていずれか一方が受けられる制度に変更されました。
■ 配偶者控除は、給与受給者の合計所得額の多寡にかかわらず適用されますが、配偶者特別控除は、給与受給者の合計所得額が1000万円以下の場合のみ適用されます。
■ 配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の収入により次のように適用されます。
| 配偶者の収入の種類 | 配偶者の収入額 | 適用される控除 |
| 給与のみ | 1,030,000円以下 | 配偶者控除 |
| 1,030,001円以上 1,409,999円以下 | 配偶者特別控除 | |
| 公的年金のみ (年齢65歳未満) |
1,080,000円以下 | 配偶者控除 |
| 1,080,001円以上 1,513,333円以下 | 配偶者特別控除 | |
| 公的年金のみ (年齢65歳以上) |
1,580,000円以下 | 配偶者控除 |
| 1,580,001円以上 1,959,999円以下 | 配偶者特別控除 |
■ 配偶者特別控除額は次の表のとおりです。
...表中の「合計所得金額」とは次の計算結果です。
......給与のみの場合 → 収入額から65万円を減じた額
......公的年金のみの場合(年齢65歳未満)
.........→ 収入額が1,300,000円以下の場合は、収入額から70万円を減じた額
.........→ 収入額が1,300,000円超1,513,333円以下の場合は、収入額から(収入額×25%+375,000円)を減じた額
......公的年金のみの場合(年齢65歳以上) → 収入額から120万円を減じた額
| 配偶者の合計所得金額 | 控除額 |
| 0円 〜 380,000円 | 0円 |
| 380,001円 〜 399,999円 | 38万円 |
| 400,000円 〜 449,999円 | 36万円 |
| 450,000円 〜 499,999円 | 31万円 |
| 500,000円 〜 549,999円 | 26万円 |
| 550,000円 〜 599,999円 | 21万円 |
| 600,000円 〜 649,999円 | 16万円 |
| 650,000円 〜 699,999円 | 11万円 |
| 700,000円 〜 749,999円 | 6万円 |
| 750,000円 〜 759,999円 | 3万円 |
| 760,000円 〜 | 0円 |
■ 配偶者特別控除制度に対する批判
配偶者特別控除は以上のように複雑でわかりにくい制度ですが、この制度の最大の欠点は、配偶者の所得金額によって控除額が小刻みに変わるのに、肝心の配偶者の所得金額が年末調整実施時点では確定していないことです。配偶者の年間所得が確定するのは翌年1月1日であり、年末調整実施時の配偶者所得は見込額に過ぎません。見込額ということでは、配偶者控除・扶養控除などの判定についても同様ですが、配偶者控除・扶養控除などが、あるひとつの金額を超えているかどうかだけについて見込みを立てれば済むのに対して、配偶者特別控除は配偶者の具体的な年間所得見込額を考えなければなりません。他の扶養親族については実施していない所得額の増加に応じた控除額の漸減措置を、配偶者についてだけ実施する意味がどこにあるのでしょうか?.配偶者特別控除は、廃止するか、確定申告の項目にすべきです。
その年の途中で死亡した親族については、死亡時の現況によって扶養親族に該当するかどうかを判定します。出産後短時日のうちに死亡した幼児も、扶養親族として扱います。
社会保険料には、給与・賞与の支給の際に天引きされている健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料(厚生年金基金掛金含む)・雇用保険料と、それ以外に自ら支払う国民年金保険料や国民健康保険料などがあります。(それ以外に「小規模企業共済等掛金」というものもあります。)
ここでは後者を「申告社会保険」と呼ぶことにしますが、平成17年の年末調整から、申告社会保険の項目のうち、国民年金の保険料と国民年金基金の掛金については、支払済みであることを証明する書類を保険料控除申告書に添付しなければならないことになりました。従来はこのような証明書の添付は不要でしたが、実際には保険料を納付していないのに、保険料控除申告書に納付済みであることを記載する不心得者がいたためにこのようなことになってしまったようです。証明書が必要なのは国民年金の保険料と国民年金基金の掛金だけで、国民健康保険料や健康保険の任意継続被保険者の保険料などについては証明書は不要です。
| 支払った保険料の区分 | 支払った保険料の金額 | 生命保険料控除額 |
| @支払った保険料が 一般の生命保険料だけの場合 |
25,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
| 25,001円から50,000円まで | (支払った保険料の金額の合計額)÷2+12,500円 | |
| 50,001円から100,000円まで | (支払った保険料の金額の合計額)÷4+25,000円 | |
| 100,001円以上 | 一律50,000円 | |
| A支払った保険料が 個人年金保険料だけの場合 |
25,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
| 25,001円から50,000円まで | (支払った保険料の金額の合計額)÷2+12,500円 | |
| 50,001円から100,000円まで | (支払った保険料の金額の合計額)÷4+25,000円 | |
| 100,001円以上 | 一律50,000円 | |
| B支払った保険料が 一般の生命保険料と 個人年金保険料との 両方である場合 |
@とAによりそれぞれ計算した金額の合計額 (最高限度 100,000円) |
平成18年の税制改正で、平成19年分より従来の損害保険料控除が廃止され、地震保険料控除が創設されました。
損害保険料控除は、その損害保険契約が長期か短期かで控除額が2種類ありました。長期保険というのは、契約期間が10年以上で満期返戻金があるものです。控除額は長期保険の場合最大で15,000円、短期保険の場合最大で3,000円でした。長期・短期ともにある場合でも最大15,000円でした。損害保険契約の大部分が短期契約ですので、大半の人にとっては税率が2割としても年税額がせいぜい600円少なくなるに過ぎません。この少額のために、事務経費や保険料控除証明書の郵送料など損害保険会社が負うコストや給与計算担当者の事務負担は馬鹿にならないので、このような社会的無駄を止めたのは喜ばしいことです。
地震保険料控除は所得控除で、控除額は最高で5万円、年間支払保険料が5万円未満の場合は支払保険料イコール控除額になっています。シンプルで分かりやすい控除額の計算方法です。問題は経過措置です。
〔経過措置〕
次の要件を満たす長期損害保険契約等に係る損害保険料については、経過措置として地震保険料控除の対象とすることができる。
(1) 平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
(2) 満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約
(3) 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの
この経過措置のおかげで、当分の間、地震保険料控除の計算は、面倒なものになってしまいました。
| 支払った損害保険料の金額 | 旧長期損害保険料控除額 |
| 10,000円以下 | 保険料の全額 |
| 10,001円から20,000円まで | 支払保険料÷2+5,000円 |
| 20,001円以上 | 15,000円 |
旧長期損害保険料がある場合は、まず、上の表により旧長期損害保険料を求め、その結果と地震保険の保険料を合計して地震保険料控除額を求めます。この合計額が5万円を超える場合は、地震保険料控除額は5万円になります。
分かりにくいのは、損害保険の契約の中に地震保険が含まれている場合です。この場合は、旧長期損害保険料控除額か、その契約の中の地震保険部分についての地震保険料控除額か、どちらかを選択して、その選択結果の控除額を別の地震保険の控除額と合計することになります。(最終結果に対して控除額上限は5万円)
経過措置がこのような内容であるため、旧長期損害保険契約を含む複数の地震保険に加入している場合、計算の仕方によって地震保険料控除額が変わってくることがあります。地震保険料控除は、経過措置が終わるまでの当分の間、従来の損害保険料控除にも増して分かりにくい、事務担当者泣かせの制度になってしまいました。
■ 平成18年度
..平成19年分の所得税から税源移譲に伴って所得税の税率が見直されます。
....@ 「源泉徴収税額表」が変わります。
....A 特定公的年金等に対する源泉徴収税率が5%に引き下げられます。
..平成19年分の所得税から定率減税が廃止されます。
■ 平成17年度
..平成18年1月から「源泉徴収税額表」が変わります。
..年末調整で国民年金保険料等について社会保険料控除を受ける場合には、証明書の添付等が必要になりました。
..住宅借入金等特別控除の適用対象に一定の中古住宅が追加されました。
..租税条約の届出書への居住者証明書の添付要件が緩和されました。
..平成16年度の税制改正で平成17年から老年者控除が廃止されています。